成田空港のその先へ、銚子電鉄に乗って犬吠埼へ。 2日目(4)水郷の町、佐原を歩き、50歳からでも人生を変えることができることを学ぶ。
J R成田線の佐原駅で途中下車。今まで、成田空港から銚子訪問にはクルマでも行ったことがないので、東京から近いんだけど、私にとっては「まだ知らないどこか」。
周遊するんだったら、鹿島神宮、香取神宮、潮来あたりもセットで巡った方がいいんだとは思うけど、公共交通機関を使って巡るのはけっこう大変なので、今日は佐原のみの観光にする。観光案内所で地図をもらって、佐原の街歩きを始める。
鉄道が引かれたのは明治以降の近代になってからなので、昔からある町は鉄道駅が町外れにあることが多い。この道も広い道ではないから昔からあった道なのかもしれないなぁなんて感じながら、古い街並みを目指す。
駅からの道を突き当たったあたりが、佐原の旧市街。和菓子屋さんの虎屋さんは蔵造りで風情を感じる。
いつごろの建築なのかはわからないんだけど、銀行のような建物。案内がないのでわからないんだけど、この建物だってそれなりの歴史があるんじゃないかなぁ?
すべての建物が木造の商店ではないんだけど、通り沿いには木造のお店が残っている。
小野川にかかる忠敬橋からは、川沿いに木造のお店が並んでいる。電柱地中化もされており、たしかに小江戸という感じ。かつては、物を運ぶのは舟運が主体なので、小野川が運河として、江戸へ送る物資の集積地として町が発展したんだろうなぁ。
小江戸といえば、埼玉県川越市も有名だけど、こちらは火事から町を守る蔵の街。佐原は古い木造家屋が残っているのがおもしろい。ちなみに川越も浅草・花川戸までの新河岸川舟運で栄えた町。
町は時代の変遷とともに、コンクリートの建物に建て替えられたり、小売業を辞めてしまってお店が少なくなったり、取り壊されて空き地が目立つようになってしまい、町全体が廃れてしまうことが多い気がするんだけど、なぜ佐原の町は木造家屋が生き残ったんだろう。
少し離れているけど香取神宮があるから、その参拝客が昔からいて、商売が成り立っていたのかなぁ?でも、発展が続くと建物は建て替えられるはずなので、舟運が廃れたあたりから、町が発展から取り残されて、そのまま残っているのかなぁ。
樋橋と呼ばれる橋からは小野川に水が流れている。もともとは対岸に水田に水を送るための橋だったもの。
樋橋は再建されたものだけど、水が流れる音からジャージャー橋という別名もある。
伊能忠敬旧宅がある。佐原の商家の伊能家は佐原で酒や醤油の醸造などを行っていた。伊能忠敬自身は九十九里町の出身で佐原の生まれではなく、伊能家に婿入りして、醸造業を営み、佐原の名主として働いた。
養子に入った伊能忠敬が跡を継ぎ醸造業を営んでいた商家を見学することができる。
しかし、伊能忠敬が歴史上に名を残すのは50歳になり隠居生活に入り、佐原を出たあとのこと。
伊能忠敬は、50歳で家督を息子に譲り隠居生活に入り、それから江戸に行って数学や暦学を学び、56歳で第一次測量を開始する。「大日本沿海與地全図」は、56歳になってから作り始めたもの。
隠居生活に入った50歳から新しいことを学び始めて、歴史に名を残す偉大さを知る。年齢を重ねると経験で物事を判断しがちになるけど、新しいことを学ぶ好奇心さえあれば、年齢に関係なく新しいことを学ぶことができることを感じる。
私の旅によくあることなんだけど、この時は伊能忠敬記念館を訪れておらず、伊能忠敬記念館に立ち寄ってもっとしっかりと学ぶべきだったことに気がつく。
残念ながら「小江戸さわら舟めぐり」は、土曜日で天気もいいのに運休。
もう一度、小野川沿いを歩いて佐原の町を感じてみることにする。
東京からそんなに離れていないのに、なかなか佐原は観光気分を味わえる。もしも、新型コロナウイルス感染症の流行がなければ、この町に来ることはあったかなぁ?そう考えると、新型コロナウイルス感染症は、飛行機で行くような遠く離れた場所ではなく、足元にある「まだ知らないどこか」に気がつく、良いきっかけだったのかもしれないなぁ。
今日は小春日和の暖かな日。土曜日だけど、観光客は少ない。オープンエアの空間で、夏ほど強い日差しではないけれど、暖かい太陽の光をたっぷり浴びて、のんびり非日常的な風景を見ることこそ、閉塞的な日常生活を継続するためには、たまには必要。そして、伊能忠敬が50歳から学び始め、56歳で歴史に名を残す偉業を成し遂げたことを知り、どんなに年齢を重ねても、新しいことを知ろうとする好奇心をもつことの大切さを感じる。
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