2020年3月、春のイタリア・シチリア紀行 5日目(4)さようなら、シチリア島!パレルモ・ファルコーネ・ボルセリーノ空港からアリタリア航空AZ1784便に乗ってローマ・フーミチーノ空港に向かう。
パレルモ・ファルコーネ・ボルセリーノ空港の15番ゲートに到着すると、私もカターニア空港到着時に遭遇したイタリア赤十字の職員がボーディングゲートに向かっていく。私もカターニア空港到着時に経験したことだけど、シチリア島に到着した乗客全員をボーディングゲートで非接触式体温計を使ってスクリーニングしている。日本を出て、イタリアで感じることは、できる感染症対策は迅速に行われているということ。
使用機のエアバスA320が到着している。まだ到着したばかりの様子で、まだ乗客は体温のスクリーニング中で飛行機から降りてこない。
すでに書いていることだけど、島国の日本の中でも陸続きではない那覇空港にサーモグラフィが設置されたのは2020年4月9日で、新千歳空港に設置されたのは2020年4月15日になってからのこと。シチリア島では少なくとも私がカターニア到着時の2020年3月3日には国内線でも到着客全員のスクリーニングが行われたことを考えると、いかに当時の日本の自民党安倍政権の水際対策がのんびりしていたか。大型機械であるサーモグラフィがなくても、「水際対策」のために、手っ取り早く非接触式体温計を活用するという発想は日本では生まれないのだろうか。
そして、空港のあちらこちらには手指消毒器が設置してある。今でこそ、日本でも当たり前のように設置されているけど、シチリアでは2020年3月7日の段階で、新型コロナウイルス感染症に対して接触感染防止を重視してなのか、以前から置かれていたのかはわからないけど、きちんとした対策がとられている。かたや日本の当時の自民党安倍政権下では、マスクや消毒液を転売ヤーに買い占められただけが理由ではないと思うけど、急速な需要拡大に供給が間に合わず、マスクと消毒液は2020年3月の時点ですでに不足しており、このような手指消毒器を設置するどころか中身がないという状況だった。マスク不足に対して、将来的に日本史の大学入試問題に出そうなほど後世の歴史に残るだろう「アベノマスク」の配布が完了したのは2020年6月20日である。
イタリア赤十字の職員による到着客の体温測定の任務が完了した様子で、搭乗ゲートから離れていく。
しばらくしてアリタリア航空AZ1784便ローマ行きの搭乗が開始される。
もちろん、もともとマスク文化ではないイタリアでは乗客はマスクなんて誰もつけていない。今回のフライトは、ほとんど陽性者がいないシチリア島から出発するので、行きにローマからカターニアに向かう飛行機に乗った時ほどの不安はない。今のところは、マスクをつけていなくても、シチリア島では新型コロナウイルス感染症の感染爆発の状況ではない。
とうとう飛行機に乗る。さようなら、シチリア島。シチリア島で平穏な日常を感じさせてくれて、過ごしているうちに私の心を平穏にさせてくれた大切な場所。シチリア島を歩いているうちに、再び日本で閉塞的な世の中を生きるパワーを得られたような気がする。世界に平穏が訪れた時には、私は今回の感謝を込めて、必ずシチリア島に戻ってくる。
前方2列目の2Dのシート。乗客はそんなに多くないみたいで空席がある。
シェンゲン協定内のフライトのオレンジジュースは、ブラッディオレンジジュースではなく、普通のオレンジジュース。
短いフライトなので、あっという間にローマ・フーミチーノ空港に到着。「沖止め」なので、タラップからローマの地に降りる。
ローマは晴れている。青空のもとで「沖止め」で外気に接することができたのは、今回の旅行ではむしろ幸せ。外だったら、周囲に人がいなかったら思いっきり息ができる。ローマの空気を深呼吸して吸い込む。
ターミナルに到着。マスクをしていなくても、シチリア州の陽性者数は少なく、そしてローマのあるラツィオ州の陽性者数も少ない。それだけ、まだイタリア中部や南部では平穏な生活が継続できているということ。
ターミナルの中に入り、ローマ発東京成田行きアリタリア航空AZ784便の搭乗口を目指す。この時は、2021年10月にアリタリア航空が消滅してしまうことは知らないので、これが私の人生で最後のアリタリア航空の搭乗便になるとは少しも思っていない。
ローマ・フーミチーノ空港のシェンゲン協定外のターミナルは、ターミナルEなので、案内表示に従ってターミナルEを目指す。
出発案内板を見つけたので、アリタリア航空AZ784便東京成田空港行きの搭乗ゲートを確認する。
現在の時刻は12:33。パレルモからのアリタリア航空AZ1784便のローマの到着予定時刻は12:30なので、早着だったことがわかる。上から5行目に“14:55 Tokyo”を見つけるけど、欠航や遅延はなさそうだけど、まだ搭乗ゲートは割り振られていない。
出国審査場では、行きと同様に自分でパスポートのページを開いて、ビニール手袋をした審査官にスタンプをもらう。イタリアの出入国審査では、以前から適当なページにスタンプを押すことが多い気がするので、自分の希望するページに押してもらえる、この方式の方が私は好き。
シェンゲン協定外エリアのおみやげもの屋さん。引き続き、お客さんはマスクを着用していない人が多いけど、イタリア中部や南部では平穏な日常生活が継続できていることを体感しているので、行きの時よりは気にならなくなっている。もちろん、ローマ・フーミチーノ空港にはイタリア北部からの乗客が紛れ込んでいる可能性はあるので、他者に近寄らないなどの基本的な感染対策は怠らない。
ローマ・フーミチーノ空港のシェンゲン協定外ターミナルって新しくなったのかなぁ?最後に私がローマ・フーミチーノ空港のシェンゲン協定外ターミナルを利用したのは、2010年10月にアマルフィに行って、アエロフロート・ロシア航空のコードシェア便としてアリタリア航空のモスクワ行きに乗って以来。その時は、シャトルに乗って、サテライトに行って、サテライトにあるラウンジで過ごしたのを覚えている。
まぁ、ほぼ10年ぶりなので、それは新しい建物もできるだろう。なかなか近代的できれいなターミナル。全体的には人が少なく、空いている感じかなぁ?
お昼ごはんの時間だけど、レストランも空いている。次のフライトは、ローマ・フーミチーノ空港14:55発アリタリア航空AZ784便で、まだ2時間以上もあるから、空港のどこかでビールでも飲んで、お昼ごはんでも食べようかなぁ。
イタリアって、空港内のレストランで食べるピザも美味しいんだよなぁ。今回の「春のイタリア・シチリア紀行」では、2020年3月3日の日本からローマへ到着時から過剰に警戒せずに普通に旅行していればもっと旅行を楽しめたかもしれないなぁ。どうしてローマ到着時にカターニア行きのフライトを待つ時間にビールを飲んでフォカッチャを食べなかったのだろう。2020年3月7日の今日も、4日前の3月3日のローマに到着した時も状況は変わらないと思うけど、日本からローマに到着した時は新型コロナウイルス感染症に対する不安でいっぱいだった。恐怖心を持ち消極的な気分でいると好奇心が弱ってしまい、見えるものも見えなくなってしまう。でも、今回の場合は、目に見えない新型コロナウイルス感染症に対する恐怖心を持ち続けることは必要だったと思うし、恐怖心を持ちながら慎重に行動することは正しかったと思う。今回の旅行中は、基本的な感染症対策を怠ることなく、毎日陽性者数を確認するなど現地での情報収集をしながら、自分自身の中にある恐怖心と向き合いながら、どう安全に行動するかのバランスをずっと模索していた気がする。
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