ロンドン・パリ、ドーヴァー海峡を渡る旅 3日目(5)ドーヴァー海峡をフェリーで渡り、フランス・カレー“Calais”に到着。
今回の旅のハイライトであるドーヴァー海峡をフェリーで渡り、とうとうフェリーの進行方向右側にうっすらとヨーロッパ大陸が見えてきた。
うっすらと見えていた陸地がだんだんとはっきり見えてくる。フランスに船で近づくというのは初めての体験。
遠くに見えてきたのはおそらくフランス・カレー“Calais”の町の鐘楼。カレー“Calais”も、2017年10月の「初めてのフランス北部、オー・ド・フランス地方“Hauts-de-France”ひとり旅」の時に感じた通り、世界遺産「ベルギーとフランスの鐘楼群」“Beffrois de Belgique et de France”の範囲であり、この地域独特の鐘楼があるはず。
カレーの町が近づいてきた。はっきりと鐘楼であることがわかる。隣り合った地域というのはお互いに作用するため私は国境地域を歩くのが好き。実は、ドーヴァー海峡を隔てて、鐘楼文化は隣り合っているイギリスにも渡っているのではないかと思っていたんだけど、やはり海というのは陸続きの国境とは異なるのかもしれない。カンタベリー大聖堂の鐘楼であるベル・ハリー・タワー“Bell Harry Tower”に世界遺産「ベルギーとフランスの鐘楼群」との近似性があるのではないかと思ってみたけれど、ちゃんと調べていないので私には証明はできない。
ドーヴァー港とカレー港では、フェリーの特性で船に乗ったクルマは向きを変えずに前進する必要があるため、着岸する船の向きが異なるため出口は船の右横になる。
カレーでのフット・パッセンジャーの出口はこちら。英語の“Foot passenger”はフランス語では単純に“Piétons”と表現されている。
飛行機や高速鉄道であるユーロスターよりも時間は何倍もかかるけれど、海を渡って国境を超えるのって面白いかも。次の候補はモロッコのタンジェとスペインのジブラルタル海峡を船で渡るのも面白いかもしれないけど、5日間の休暇では難しいかなぁ?
スーツケースなどのトローリーバックは、そのまま転がして地上に出ることができる。ドーヴァー港と同様にバスが待っており、ターミナルまではバスに乗る。
たぶん、鐘楼が見えるところがカレーの町の中心部。港から町の中心部まではバスはなく、タクシーに乗るか駅まで30分程度歩かなければならない。
バスはターミナル前に到着。すでにフランスの入国審査はドーヴァー港で済ませているので入国審査などはない。
ということでバスを降りてしまえば、あとはご自由に!という感じ。フットパッセンジャーたちは、けっこうクルマでお迎えが来ている人が多い。
歩行者専用の通路がある。1.2キロだったら、私には余裕で歩ける距離。時間的にも20分くらいで着けるんじゃないかなぁ?
歩行者用通路のスロープを登る。けっきょく、中に入ることはなかったカレーのターミナル。
歩行者用通路には自転車の絵も書かれていたんだけど、自転車だとけっこう細い通路で、自転車に乗っての移動は難しい。
駐車場の端に無理やり作られた細い歩行者用通路を歩くと、大きな道路が見えてきた。
ようやく広い歩道に出る。英語が母国語であるイギリスでは“Foot Passenger”だけど、フランスでは、フランス語の“Piétons”を英語に当てはめた“Pedestrians”と表記されているのが面白い。まぁ、今回の旅で一番の発見は、「温州みかん」、すなわち日本で一般的な「みかん」が、イギリスでは「サツマ」“Satsuma”と呼ばれていることを知ったことだけど。
フランスの場合は中心街“Centre Ville”や市庁舎“Hôtel de Ville”の案内標識を見つけたら、案内標識にしたがって歩いていれば、中心街に出られるはず。
運河を渡る。カレーの旧市街は運河に囲まれており、外敵から町を守るお堀の役割をしている。
いかにも港町の風景。港には煉瓦積みの倉庫があり、今は使われていない線路がある。横浜の赤レンガ倉庫だって、かつてはこんな感じだったんだろうなぁ。
カレーは、トラックでの運送が主役になる前から港湾都市として発展していたんだろう。今は使われていない線路が伸びている。
カレーの町はフランスらしくなく、近代的なコンクリート建築が目立つ。その理由は、2017年10月にダンケルク “Dunkerque”の町を訪れた時に感じた通り、この地域は第二次世界大戦においてナチス・ドイツ軍と戦闘があった地域。ましてや軍事上重要な港湾都市であるカレーは、1940年5月のカレー包囲戦にて甚大な被害を受けた。おそらく、町が破壊されたのだろう。
カレーのノートルダム大聖堂“Église Notre-Dame de Calais”。この鐘楼も第二次世界大戦中に爆撃によって崩壊し、のちに再建されたもの。今回、実はイギリス土産のつまったバックを持っているせいで機動性が悪く、近くまでは行って見ていないんだけど、この教会はヨーロッパ大陸で唯一のチュダー“Tudor-style”建築様式の教会である。
ベルギーや北フランスの町の特徴として、町の中心に大きな広場がある。カレーにもアルム広場“Place d'Armes”があるんだけど、広場の周囲がコンクリート造りの建物になっている。この広場も第二次世界大戦の戦闘によって甚大な被害を受けたのだろう。
広場の片隅に塔“Tour du Guet”が立っている。この塔は見張りの塔、そして灯台として機能していた。
すでに14時を過ぎており、ちゃんとしたレストランのお昼ごはんの時間は終わってしまっている。アルム広場に面した“Non Stop”のカフェ“Café de la Tour”でお昼ごはんを食べることにする。今回の旅行は、フランスに入った途端にミシュラン掲載店に行って、イギリスよりもフランスの方が美味しいというのは不公平なので、普通のカフェで食事をするのがちょうどいい。
この地域もイギリスと同じビール文化。ビールは、ベルギーのアベイ・ビールのアフリゲム“Affligem”。ベルギービールは鼻に抜ける香りがいいから好き。
この地域に来て、まず食べるべきは、メニューの一番上にあるムール貝のワイン蒸しでしょう。
ムール貝をワインで蒸し煮にしただけなんだけど、私が個人的に好きだというのもあるかもしれないけれど、やっぱり美味しい。ドーヴァー海峡を渡るフェリーのフードコートでフィッシュ・アンド・チップスを食べなくてよかった。ドーヴァー海峡を隔てたイギリスのフィッシュ・アンド・チップスよりも、私はムール貝が好き。調理方法としては難しくないと思うんだけど、イギリスで名物にならないのは、イギリス側の海では断崖絶壁で干潟ではないので、ムール貝が獲れないのかなぁ?
慣れているからなのかなぁ?イギリス旅行もいいけれど、やっぱり食事を楽しむにはベルギーやフランスの方が素晴らしいと感じてしまう。
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