初めてのイスラエル、エルサレム・死海ひとり旅 4日目(2)エルサレム、オリーブ山からの風景。
聖アンナ教会から聖ステバノ門へと向かうと、目の前には銃を持った警官が歩いている。本当はパレスチナのベツレヘムに行こうと思っていたのに、昨日発生した発砲テロ事件のせいでアラブバスが動かずに予定外にオリーブ山へ向かっている。
せっかくここまで来たのだからベツレヘムにあるイエスの生誕教会を訪れたかったなぁ。でも、生誕教会を訪れてしまうと再びこの地に足を踏み入れることはないかもしれない。きっと、神様がもう一度来なさいと言っているに違いないと解釈することにする。そうでなくとも、私はガイドブックをきっちりと読まずに感覚だけで町歩きをするので、けっこう有名ポイントを見落としたりもしていて、いつもまた次に来た時に見ればいいという重要観光スポットは実はけっこうある。
聖ステバノ門は、この辺りで聖ステバノが石打ちの刑に処せられたことから名付けられている。門にはライオンのレリーフが刻まれている。
聖ステバノ門の警備体制は、バリケードで封鎖されているものの旧市街からオリーブ山に抜ける観光ルートであるためか、緩そうな印象。どうも、ダマスカス門だけが異常に厳しいだけで、それ以外の門は観光客にはやさしい。それだけ、巡礼者や観光客がエルサレムを訪れているということ。
聖ステバノ門を出ると、下り坂になっている。エルサレム旧市街とオリーブ山の間にはキドロンの谷と呼ばれる谷になっている。ここから丘の上にある城塞都市エルサレムを攻略するのは難しいだろうなぁ。
聖ステバノ門を出てからキドロンに谷まで下りると、目の前にはオリーブ山がある。谷であることを実感する。
オリーブ山の麓には、ゲッセマネの園がある。「地球の歩き方イスラエル2015〜2016」によると、かつてはこの辺りはオリーブ林が広がっていたという。
庭園内に残る8本のオリーブの木は、はるか昔から受け継がれてきたものだという。確かに、幹がものすごく太い。
ルカ22:39には、最後の晩餐を終えたイエスが「いつものようにオリーブ山に行かれると弟子たちも従った」と記述があるので、頻繁にイエスが訪れた場所なのだろう。
エルサレムに来ておもしろいのは、聖書の記述されている通りに実際の場所がある。聖書の世界が現実にある。聖書を持ってくれば、もっと興味深い旅になったかもしれないなぁ。
ゲッセマネの庭園に隣接して「万国民の教会」が立てられている。イエスが最後の夜を苦悶して祈った教会であり、別名として「苦悶の教会」とも言われているらしい。
教会の中に入る。教会の中に入ると、私はいつもの通り椅子に座り教会の静寂を味わう。
ゲッセマネの園からエルサレムの城壁にある閉ざされた黄金門が見える。神殿の丘に面しており、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教ともに救世主がここからエルサレムに入ってくるのだという。
ゲッセマネの園を出ると誘惑がある。最初はオリーブ山のてっぺんまで行くというタクシー運転手がベツレヘムに行かないかと声をかけてくる。確かに本心としてはベツレヘムに行きたい。しかし、昨日の発砲テロ事件によって、本当は見たかった「分離壁」のチェックポイントでトラブルになっては面倒だし、誘惑に負けずにオリーブ山に上がることにする。
オリーブ山は、もっと緑がある風景だと勝手に思っていたんだけど、墓場が広がっている。
けっこう急な坂道なので一休み。振り返ると神殿の丘が見えてくる。昨日、発砲テロ事件が発生したけれど、団体観光客が集団で坂道を下りてゆく。ダマスカス門だけは頑なに閉鎖されているけれど、普通に観光するには不便はない。
7月の日差しは強く乾燥しているので、歩いてここまで登るのはけっこう大変で、水分補給をして息を整える。
エルサレム旧市街は昨日の発砲テロ事件によって厳戒態勢にあるけれど、オリーブ山に登ってしまえば、普通に観光客はいるし、平和な雰囲気。ムスリムが多いダマスカス門周辺だけが異常に厳しいだけで、そんなに気にしなくてもいい感じ。警官2名が射殺されているので、大したことはないとは言い難いけれど、この程度の「いさかい」は珍しいことではないのかもしれないなぁ。
私も展望台の最前列に立ち、エルサレム旧市街を見下ろす。そして、エルサレム旧市街を眺めながら、私は目をつぶって平和が続くように祈る。この世の中で平和ほど大切なものはない。
祈り終えると、私は風景をぼーっと眺めているのが好き。一人旅だからこそ、自分が満足するまでゆっくりと風景を見ることができる。そして興味がなければさっさと行ってしまうこともあるキドロンの谷があり、城壁で囲まれたエルサレム旧市街は堅牢な城塞都市。閉ざされた「黄金門」がよく見える。
テレビや新聞などで見るのはこの風景。城壁内が神殿の丘となる。今回の旅程では残念ながら神殿の丘の内部には入ることはできなかったけれど。そして、昨日の発砲テロ事件が発生したのもこの神殿の丘。
ベツレヘムの聖誕教会と同様に、神殿の丘の内部へ行くのは、次回エルサレムに来たときのお楽しみ。その時は一人ではなく「連れ」と一緒に来られたらいい。だけど、そもそも、エルサレムに行こうと思ってくれる人と巡り会うのはけっこう大変かもしれないけれど。
旧市街の西側も深い谷となっており、城壁で囲まれた城塞都市エルサレム旧市街は、町を防御するために自然の地形をうまく利用している。
シオンの丘に立つのは、昨日訪れたマリア永眠教会。この辺りに「最後の晩餐の部屋」がある。最後の晩餐を終えたイエスは、この辺りからキドロンの谷にあるゲッセマネの園まで歩いて来たのかなぁ。
シオンの丘を下りたところには最後の晩餐後にペテロが関係する鶏鳴教会が見える。聖書に書かれている物語が実際の風景によってつながってくる。「読みなさい」と言われてもなかなか読まない聖書だけど、ちゃんと読んでおくべきだったなぁ。せめて、聖書を持ってくればよかった。そうすれば、もっとこの風景を興味深く感じたかもしれない。
オリーブ山は巡礼者や観光客も多く平和な雰囲気。エルサレムというのは不思議な街で、ダマスカス門付近では厳戒態勢にもかかわらず、それ以外の場所では銃を所持した警察官は見かけるものの概ね平和を保っている。ごく一部の人の行動によって、平和の絶妙なバランスは揺らぎ、崩れてしまったかと思ったけれど、平和というものは多くの人々の努力と調和によって、そう簡単には揺るがないようだ。
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