南イタリア・マテーラ・アルベロベッロ一人旅2日目(3)マテーラのサッソ・カヴェオーソ地区を歩く。
しばらく、サッソ・カヴェオーソ“Sasso Caveoso”を一望できる展望台から眺めるパノラマに圧巻される。ガイドブックの写真で見て想像していた風景よりもだいぶ規模が大きい。
渓谷にへばりつくように住宅が建っている。単純な洞窟ではなく、洞窟の入口は石積みの家になっていて、一見すると普通の石造りの家なのか、洞窟住宅なのかどうかがわからない。洞窟住宅「サッシ」の町というよりもヨーロッパの古い町並みに見える。
谷にへばりつき、そして坂道が入り組んだ路地は当然ながら生活には不便で、生活のしやすい新市街に引っ越すことのできない貧困者が取り残され、サッシ地区は貧民の住居となっていた時代があった。
事前に目的地の情報を調べていると、過去にはサッシが貧民街の歴史があることから、もっと荒んだ風景を想像していたんだけど、世界遺産になり観光化が進んでいるためか、ガイドブックなどに書かれているほど廃れた町の印象を感じない。
現在は人が住んでおり、風景の中に若干だけど生活感を感じることができる。
反対側の岩山との間は谷になっていて、その谷にへばりつくように洞窟住宅がある。川向こうの風景を見る限り、作物が栽培できないような岩山であり、これだけの住居に住む人は十分な作物を生産し、食料を得ることができたのかなぁ。
新市街が高台にあり、サッシ地区は川によって削られた谷側にある。そのため、サッシ地区を散策するには坂を下りていく。今すぐに降りてみたい気分だけど、まずはホテルに迷わずにたどり着かなくちゃ。
展望台から200メートルくらい歩くと、ようやく今回宿泊するホテルに到着。洞窟ホテルではないけれど、そんなサッシ地区にあるホテル、イル ベルヴェデーレ。マテーラの町歩きの「へそ」であるヴィットリオ・ヴェネト広場から500~600メートルくらい。マテーラ中央駅から迷わずに歩けば1キロくらいで、15分くらいかかるかなぁ。
イル ベルヴェデーレ(Il Belvedere)
http://www.hotelbelvedere.matera.it
トルコのカッパドキアのような洞窟ホテルではないので、石造りの家の2階に部屋がある。一人で宿泊するのには十分すぎるくらいの広さ。さっそく、着替えをしまい、バックパックの中身をほとんど空っぽにして、町歩きの準備が完了。
バスタブはなくシャワーオンリー。トイレはビデつきで、スリッパなどのアメニティも充実している。
そして、このホテルの最大の魅力は洞窟を抜けたところにあるテラス席。このテラス席からの風景を見たくて、このホテルを選択したと言ってもいいくらい。
テラス席からサッソ・カヴェオーソ“Sasso Caveoso”を一望できる。なんだか、一人で貸し切りはもったいないくらい。このテラスの椅子に座り、一緒に感動を共感できる「連れ」がいたら、もっと楽しいのになぁ。こんな場所で、「連れ」と2人きりでこの風景を貸し切りで楽しめたら、なんて幸せな時間なんだろう。
一人でテラスのベンチに座り、深呼吸してマテーラの空気を吸い込む。マテーラの風を肌で感じる。音はなく、静寂さが風景を引き立てる。うーん、やっぱり、この空間を共有できる人がほしい。
おもしろいなぁ。虫に食われたように、小さな岩山の隙間に石造りの建物が建てられている。
ホテル・イル・ベルヴェデーレは、サッソ・カヴェオーソの最も奥にあるので、サッシ地区が谷に削られた岩山にへばりついていることがよくわかる。
私の部屋は普通に2階の部屋だったけど、洞窟のお部屋もあるのかなぁ?
ホテルのロビーに戻るには、この岩山をくりぬいた洞窟を通っていく。このテラスとロビーを結ぶ洞窟がおもしろい。そのままホテルを出て、いよいよマテーラの町歩きがスタート。
谷側に下る道に降りる。ホテル・イル・ベルヴェデーレがある場所は、サッソ・カヴェオーソの最も奥にあるので、このあたりにある洞窟住宅は本当に横穴が開けられているだけ。しかも、入口は閉鎖されており、人は住んでおらず荒廃している。本来のサッシの洞窟住居というものは、このような感じのものなのかなぁ。
ここから先は荒廃しており、横穴が開けられているだけの洞窟が見える。ここの風景を見ていると、貧民が住み着いた洞窟住宅という表現がわかるような気がする。
サッシの一番奥から、マテーラのサッシ地区の中心であるドォーモを目指して歩いてみる。
だんだんと中心部に近づくにつれて、洞窟の前に石造りの建物が建つサッソも増えてきた。
しかし、人が住んでいる気配はなく洞窟の中はからっぽの廃墟。観光化されていないこのような廃墟の洞窟住居こそ、本当のサッソの姿なのかもしれないなぁ。
ホテルのテラスから眺めた虫食いの岩山に近づいてきた。岩山に組み込まれた建物がおもしろい。
この岩山は、サンタ・マドンナ・デ・イドリスとサン・ジョヴァンニ・イン・モンテッローネ両岩窟教会になっている。
教会の中に入ると、内部の写真撮影はできないのでここでは紹介できないけれど、岩山を掘られた洞窟内は広く、手前側が「サンタ・マドンナ・デ・イドリス岩窟教会」で、奥の「サン・ジョヴァンニ・イン・モンテッローネ岩窟教会」へと続いている。洞窟内には、いくつかのフレスコ画を見ることができる。
マドンナ・デ・イドリス教会からサッシ地区を見下ろすと、このあたりは洞窟住居というよりは、ヨーロッパの昔ながらの町並みが広がっている。しかも、それは単に古いだけではなく、時代に取り残されたような雰囲気を感じる古さ。
マテーラ散策の途中だけどお昼ごはんの時間なので、いったんサッシ地区から出て、「地球の歩き方」に掲載されている、マテーラの町歩きの「へそ」であるヴィットリオ・ヴェネト広場そばのレストランに向かうことにする。
だけど、サッシ地区散策のために谷底まで下りてしまっているために、ヴィットリオ・ヴェネト広場に戻るためには、ひたすら石段を上がらなければならないのが一苦労。
だけど、石段のある風景が美しい。洞窟住宅サッシが有名なマテーラだけど、坂道を登っていると普通のヨーロッパの古い町並みに感じる。特徴的な洞窟住宅がありつつも、どこかでヨーロッパの町並みを感じるマテーラ、サッシ地区の町歩き、ここでお昼ごはん休憩を入れるけど、私の中にはまだまだ町を探検したい好奇心があふれている。
« 南イタリア・マテーラ・アルベロベッロ一人旅2日目(2)バーリ空港からバスでマテーラへ。 | トップページ | 南イタリア・マテーラ・アルベロベッロ一人旅2日目(4)マテーラでお昼ごはん、オレキエッテとの出会い。 »
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 一目惚れをしたポルトへの旅 3日目(2)ブラガで10時のおやつは巨大ケーキ。(2020.07.30)
- 一目惚れをしたポルトへの旅 3日目(1)ポルト、サン・ベント駅からブラガに向かう。(2020.07.27)
- 一目惚れをしたポルトへの旅 2日目(4)カミーノを一人で歩き切った旅人と合流。お昼ごはんはポルトのB級グルメ、コンガ“Conga”のビファナ“Bifanas”を。(2020.06.27)
- 一目惚れをしたポルトへの旅 2日目(3)ポルト・フランシスコ・サー・カルネイロ空港からポルト・メトロに乗ってポルト市街へ。(2020.06.24)
- 一目惚れをしたポルトへの旅 2日目(2)パリ・オルリー空港からTAPポルトガル航空に乗っていよいよ一目惚れをしたポルトへ。(2020.06.17)
「イタリア」カテゴリの記事
- 2020年3月、春のイタリア・シチリア紀行 5・6日目 2020年3月8日、人生最後のアリタリア航空のフライトで、ロシア・シベリア上空を通過して成田空港に到着。(2022.05.18)
- 2020年3月、春のイタリア・シチリア紀行 5日目(5)ローマ・フーミチーノ空港の「プラザ・プレミアム・ラウンジ」“PLAZA PREMIUM LOUNGE”でお昼ごはん。(2022.05.14)
- 2020年3月、春のイタリア・シチリア紀行 5日目(4)さようなら、シチリア島!パレルモ・ファルコーネ・ボルセリーノ空港からアリタリア航空AZ1784便に乗ってローマ・フーミチーノ空港に向かう。(2022.05.11)
- 2020年3月、春のイタリア・シチリア紀行 5日目(3)パレルモ・ファルコーネ・ボルセリーノ空港のおみやげもの屋さんでようやく私の好奇心が復活する。(2022.05.07)
コメント
« 南イタリア・マテーラ・アルベロベッロ一人旅2日目(2)バーリ空港からバスでマテーラへ。 | トップページ | 南イタリア・マテーラ・アルベロベッロ一人旅2日目(4)マテーラでお昼ごはん、オレキエッテとの出会い。 »
ラコスケさん、こんにちは。
今回のホテルのテラスからの眺めは最高ですね。マテーラには27年前と昨年行きました。 27年前は殆ど荒れ果てた状態でしたか、昨年でかけた時は歩道などが整備され歩き易い状態となっていました。
同じ洞窟住居でもカッパドキアとは様相が違いますね。マテーラは一度荒廃し、貧民地区となりましたのでそれから現状になるには時間がかかったのだと思います。ここまで環境が整備されたのにはビックリしました。
私ももう一度訪ねることがあったら、ラコスケさんが泊まったようなホテルに宿泊してみたいです。夕陽も堪能できたのでしょうか?
マテーラの散策の続き楽しみにしています。
投稿: omoromachi | 2015年4月12日 (日) 15時46分
やっとマテーラ散策始まりましたね。
私たぶん洞窟好きです。
トルコのときもそうですけど、今度マテーラ行ったら絶対洞窟ホテルです!!
ガイドブックやネットだけではイマイチ想像がつかない
マテーラの街。早く行きたいですね~
投稿: ユリコ | 2015年4月14日 (火) 18時16分
omoromachiさん、こんばんは。
27年前にマテーラを訪れていたのですね。荒れ果てたマテーラのサッシ地区が発するオーラは衝撃的だったでしょうね。現在では、きれいな観光地になっていますので、私もその時代のサッシ地区を見てみたかったです。
投稿: ラコスケ | 2015年4月15日 (水) 21時21分
ユリコさん、こんばんは。
マテーラの町は独特の雰囲気です。どうしても事前に調べていくと、貧しかった農民の住居だったこと、閉鎖されていた歴史があることを頭の中に入ってきます。ただ、予備知識なしに純粋にニュートラルな視点で見たときに、現在のマテーラはヨーロッパの古い町並みにも感じ、美しさを感じます。サッシ地区を歩いているとどちらの視点も感じながら歩くので、おもしろいなぁと感じます。
「まだ知らないどこかへ」行く目的地として考えたときに、その新鮮さは訪れてよかったと感じています。この空気感と言いますか、雰囲気は、実際に現地に行って、自分の目で見て、耳で音を感じ、風を肌で感じないと伝わらないかもしれません。しかも、できれば、ツアーではなく坂道を上がったり下がったりしながらゆっくりと歩かないと。
マテーラを感じたかったら実際に現地に行かれることをお勧めします。
投稿: ラコスケ | 2015年4月15日 (水) 21時28分